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学術情報・動画 お役立ち記事 歯科コラム 歯科医院の開業物件選びにおける3つのポイント

歯科医院の開業物件選びにおける3つのポイント

どこで自分が開業したいのか


自分が育った街やその近くの町で開業することが非常に多いです。地元の開業ではこれから述べるようなリサーチをしなくてもある程度土地勘があるため、開業を有利に進める大切な要因となります。

しかし、馴染みのある街に既に集患力の強固な歯科医院がある場合は敢えてそこでの開業を避けるという選択もあります。自分の理想とする歯科医師としてのキャリアのために、開業場所は複数見ていくことになるかと思いますが、物件の見極めのためには ①立地 ②視認性 ③マーケット性 の観点で見ていきましょう。



1.立地:その歯科医院にアクセスしやすいか


歯科医院経営というのは店舗ビジネスの1つとも言えます。そして店舗ビジネスの成功は立地に左右されることが多いです。歯科医院の場所が患者様にとってアクセスしやすくなければ、来院する可能性は低くなります。


■立地の基本は人通りや交通量


開業されてから真摯に患者様を診察していれば、その歯科医院の良い評判が地域に浸透していき患者数は増加していくのは必然です。しかしながら、開業当初は潜在的な患者様にそこにあることを知ってもらわなければなりません。後述する視認性と重複する部分がありますが、候補物件の前を人や自転車、自動車などがどのくらい通っているかどうかを実際に目で見て確認しましょう。


実はこの立地というのは集患に限った話ではありません。歯科衛生士や歯科助手などのスタッフ確保においても重要な考えとなります。最近は歯科衛生士などを求人しても簡単には採用できません。その結果、求人活動に費やす時間が増えてしまい疲弊してしまう開業医の方も多くなってきています。歯科衛生士は勤務する際に給与の次に立地を重要視しています。採用できたとしても実際に勤務してみて通いづらいなと思われたらすぐに退職されてしまいます。駅前で通いやすいのか、駅前立地じゃないとしたら従業員用の駐車場はあるのか等、その物件は従業員が確保できそうな立地なのかも重要な要素なので留意する必要があります。


幹線道路への近接性も重要です。これは路地裏と比べて特に車を利用する患者様が通院しやすいことは勿論なのですが、より遠くの患者様が来院してくれる、という歯科医院の商圏を広げる効果があります。


■駅前・交差点角地は人が止まる場所


駅前などはアクセスが良いのもさることながら、「人がよく止まる」というのがポイントです。人が止まった時に歯科医院が注目される場所にあればその存在を知ってもらえます。人が足を止やすい場所にあるのか。そういう観点では駅前だけでなく交差点の角地やバス停近くなども適した場所になります。


■駅前立地の物件を見るときの留意点


鉄道、地下鉄の駅などは出入口が複数あるので出入口ごとに人の流れが変わります。駅前だから良い、と判断するのではなくその出入口から出入りする人はどのくらいいるのかを実際に調査しましょう。


なお、駅や公共交通機関の拠点から遠いからといって歯科医院の開業候補から外す必要はありません。一般的に駅から徒歩10分以上離れた立地では人通りはまばらになりますが、その駅から住宅地に抜ける動線上に候補物件があるならば、実際に人通りを確認してから判断すべきでしょう。


■吸引施設の有無確認も忘れずに


吸引施設とは地域の人々が頻繁に利用する施設のことです。具体的には大きい病院やスーパー、ドラッグストア、市役所などです。物件が吸引施設の近くにあれば、たとえ候補物件の前の人通りが当初少なかったとしても立ち寄ってもらえる可能性が高くなります。


例えば、歯科医院がスーパーの近くにあれば患者様が診療を終えた後に買い物をするなどもでき、患者様にとって利便性がアップするので歯科医院に来院される後押しとなります。


また、歯科医院を開業すると長期にわたってそこに根付くことになると思うので、そのエリアの開発予定などを不動産屋からも聞いてみて、今後どういう施設が増減していくかを念の為確認していくことも重要です。


■川や大きな道路で商圏が分かれていないか


開業候補地を検討する際に同心円上で商圏を考えるかと思いますが、川や線路がある場合は要注意です。川や線路などはそこを横断するための橋やトンネルが必要です。多くの地域ではその橋やトンネルの数が少なく、距離で計測すると近いのにも関わらず、人の往来がほとんどないエリアというのが存在します。人が多いエリアではあるが、その候補地はそのエリアの患者様を多く誘因できるのか、をよく確認しましょう。



2.視認性:歯科医院の前を通った際に注目してもらえるか


視認性は潜在患者様に対してクリニックの存在を認知してもらう上で重要です。立地は良いのに、視認性が悪く物件のポテンシャルを完全に活かしきれずに患者に知ってもらえない、ということのないようにしましょう。


■看板


ただ看板を置くのではなく、適切に看板を設置できるかどうかが重要です。駅前立地であれば駅から見えるようにできないか、接道しているならば車を運転していてわかりやすい場所にあるか、バスが走っている場合にバスの乗客から見やすいのか等を考えた上で、物件オーナーにもそういった看板が設置できるのかなどを確認しましょう。


■間口


間口(まぐち)とは接道に面した建物の横幅のことです。間口の幅が広いほど看板のスペースが確保できます。また、広い間口は開放感を与えて訪れる患者様を歓迎する印象を強くすることができます。


テナント開業の場合、その物件のガラス面が多いと、歯科医院内の内装もアピールできるので、歯科医院の情報をより多く伝えることができ視認性が高いと言えます。


■駐車場・駐輪場の有無


ロードサイドであれば、駐車場の位置どりは反対車線からも入りやすいか等、車で来院する患者様にとっては注目しやすいポイントとなります。


また、駐輪スペースがない歯科医院も意外に多く存在します。自転車で来院される方も多くいることが予想される場合、駐輪スペースもしっかりと確保できるのか確認しましょう。



3.マーケット性:そのエリアにおける特性


例えば、歯科医院開業の際に立地でよく言われる、都市部か郊外の立地かどうかもマーケット性という言葉に含まれますが、エリア内における潜在的な患者層の中身を理解することが提供する診療内容を考える意味でも重要です。


■人口動態


そのエリアは高齢者が多いのか子育て世代のニューファミリー層が多いのか。例えば高齢者の比率が高い地域では、入れ歯や口腔管理に特化した診療を提供することも検討することになります。また、子育て世代が多い地域では子供の虫歯予防や矯正に特化したサービス、そして地域コミュニティにも入っていく必要があります。


この人口動態は時間帯によっても変化します。平日の朝、昼、夜、土曜の朝、昼、夜など想定する営業時間を念頭にどのくらい人が通るのかを実際に見てみると良いでしょう。


例えば、都市部か郊外か、が重要な物件選定の要素となる1つの理由として、土地代の問題があります。一般的に都市部は賃料が高くなるため、物件は狭くなりチェア数が少なくなる傾向にあります。そうなると、1人の患者様からいただく診療報酬をより多くするか1つのチェアで診療する患者様の数をより多くするということが郊外に比べると意識しなければならなくなります。ご自身が目指す歯科医院がそのような診療にあるのか、という兼ね合いを考えることになると思います。


■周辺の歯科医院の開業状況


物件を検討していてその周辺に歯科医院がない、ということは今の時代ほぼありません。地域医療として連携していくことになる一方で、やはり競合となってしまうこともあります。物件を調査する際は周辺の歯科医院をリストにして、それぞれの歯科医院のアピールポイントは何か、実際に通院していらっしゃる患者様はどういう傾向か、営業時間や予約のしやすさを整理しましょう。その上で自身が開業する際、地域の方々に向けてどういうアピールをすれば良いのかを検討しましょう。


歯科衛生士などのスタッフ採用においても給与面の検討材料ともなりますので、周囲の歯科医院が求人しているならば、その求人情報などを見てみると参考になることが多いと思います。



まとめ


以上、立地と視認性、マーケット性についてお話ししました。立地というのは患者様のアクセスのしやすさ、視認性というのは歯科医院の情報を物件として適切に発信できているか、そしてマーケット性というのは患者層の中身、といえます。


そして気になる物件が見つかったら、迅速に不動産屋と連絡を取り合い必ず実際に見に行ってください。開業で成功している先生の中には勤務の傍らで、開業するまで毎週色々な歯科医院を実際に外から見てその周辺を歩いてイメージを膨らませたという方もいらっしゃいました。


3つの要素を全て完璧に押さえる必要はありません。それこそ完璧な立地を見つけるのは難しいです。大事なのは自分の開業する立地が欠けている部分を認識することで、それに沿った集患含めた経営方針を立てることができるようになることです。


また、当社では全国の歯科医院を長年支えてきた実績からどういう物件が成功しやすいかというノウハウを蓄積しています。物件の見極め方がわからないという方は是非ともご相談ください。


(本記事は2023年9月1日時点の記事です)


監修:株式会社ヨシダ 開業支援担当




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